高品質な写真やイラスト素材がリーズナブルに購入できる「PIXTA」や「Adobe Stock」などの有料ストックフォト(ストックイラスト)サイト。
制作業務や広告・メディア運営に携わっている方なら一度は目にしたことがあるのではないかと思います。
一度購入すれば使い放題?実は違うんです…!
ストックサイトの素材の多くは「ロイヤリティフリー」というライセンスで販売されています。
ロイヤリティフリー素材とは
ロイヤリティフリー(RF)素材とは、一度購入すると使用許諾の範囲内で何度でも使用できる素材のことです。あくまでも許諾を得られた方の使用に限っており、第三者への使用権の譲渡はできません。使用用途の申告などを都度行なう必要がなく、リーズナブルな価格で利用可能な素材となっております。 PIXTA よくある質問より引用
注意したいのが[作品そのものを買う]のではなく[規約の範囲内で使用する権利を買う]という点です。
基本的には何度も自由に使用できるものの、例外的に注意が必要なケースがあります。
とはいえ購入者さんからすると意外と分かりづらかったりしますよね。
この記事では、ストックフォト(イラスト)サイトの中でも特に日本国内での利用者の多そうな「PIXTA」と「Adobe Stock」の利用規約の中で、意外と見落とされがちだと感じたNG使用例をピックアップしてみました。
クライアントに素材を譲渡したい場合
クライアントに素材データを引き渡す際は確認を!
- 「別の媒体でも使いたいから素材の元データがほしい」
- 「納品後に調整したいから素材の元データがほしい」
クライアントへの納品時に上記のような要望を受けるケースも考えられますが、データの譲渡についてはサイトによって規約が違うため確認が必要です。
素材データの譲渡 | 備考 | |
---|---|---|
PIXTA | NG素材データの譲渡は不可。 クライアントは納品物の中でのみ素材を利用することができる |
素材データを渡す際はリサイズ・トリミングなど、再利用できないよう加工を施すことが必要 |
Adobe Stock | OK 「クライアントに代わって代理購入」という形であればデータを譲渡できる |
一旦譲渡した素材を再使用する場合は再度ライセンス購入が必要 |
譲渡NGのストックサイトの利用する場合、クライアント側で素材の再使用が予想されるときは予めクライアント側で素材を購入してもらうなど、利用方法に応じた方法をとるのがよさそうです。
(※2018年7月現在の情報です)
定額制はリーズナブルでお得ですが…
PIXTAの定額制プランは一枚あたり約39円〜と、とてもリーズナブルに利用できます。
しかもPIXTAの素材は他サイトでは販売されていない限定素材が豊富で、特に日本人向けの使いやすいものが多いので、定額制はとても魅力的なプランだと思います。
ただし定額制の素材の扱いについては以下のような制限があるそうです。
- 定額制でダウンロードした素材を利用できるのは原則契約者本人のみ
- ダウンロードした素材を1年以上使用せず保管しておくことはできない
適切な例えかはわかりませんが、ファミレスのドリンクバーを一人分だけ頼んでグループ全員で飲んではいけませんよ。。という話ですね^^;
複数人で素材を扱う場合は「マルチシートライセンス」での契約すれば良いそうです。
(※2018年7月現在の情報です)
ブログやメディアのアイキャッチ画像・挿絵として使用するとき
素材を[そのまま]掲載したいときは注意が必要です
ストックフォト(ストックイラスト)素材をブログやWebメディアのアイキャッチ画像や挿絵として使用する場合に注意したいのが、未加工の素材をそのままアップロードしてしまうことです。
Webサイトに掲載した画像は容易に保存できてしまうため、第三者が素材をダウンロード・再使用できる状態になってしまいます。
ブログやWebメディアに独立した状態で素材を掲載する場合は、下記のような加工を施したほうが良いようです。
- トリミングする
- 文字を乗せる
- クレジット表記を入れる
(※2018年7月現在の情報です)
そのほかに注意が必要な使い道
- 素材を使用したテンプレートやグッズ販売する(ライセンスの追加購入が必要)
- 商標やサービスマーク・ロゴへの使用
- モデルの名誉や信頼を傷つけるような用途への使用(偽のプロフィールに使用する等)
- アダルトコンテンツに使用する
- SNSに使用(Adobe Stockはクレジットの記載が必要)
登録しているサイトの規約をよく確認することをおすすめします
この記事を書くにあたり、いろいろなストックサイトの利用規約を改めて読んでみたのですが、私自身も知らなかったことがいくつかありました。
また、あるサイトではOKなことが他のサイトではNGな場合も。
規約自体も更新されることがあるようなので、疑問が生じたときは都度最新の情報を確認するようにすると良いのかなと思いました。
〜番外編〜
クリエイターにイラスト制作を直接依頼するとき
直接依頼の場合、事前に使用可能範囲を確認しておくと安心です
ストックイラスト素材を利用していると「クリエイターに直接仕事を依頼したい!」ということもあると思いますが、依頼時にはあらかじめ制作物の使用可能範囲を確認しておくと安心です。
ストックフォトサイトで購入した素材は、規約の範囲内であれば何度も自由に使用できます。(チラシに使ったものをホームページに使用する等)
一方でクリエイターに個別でお仕事を依頼しお金のやり取りをする場合は直接の契約という形になり、クリエイターによって納品物の使用可能範囲が異なります。(ちなみに私は制作料金を抑えるかわりに、加工NG・二次使用料はいただくようにしています。)
事前に確認しておいたほうが良いと思われるポイント
クリエイターさんの中には、依頼を受けて描いたイラストも素材と同じように自由に使っていいよという方もいらっしゃるかもしれません。
…が、依頼時には下記のようなポイントを確認しておくと良いと思います。
- 何の媒体で、どのように使用するのか(使用用途をあらかじめ確認しておく)
- 二次使用料はかかるのか、かかる場合はいくらなのか
- 制作物を加工して使用しても良いのか
イラスト依頼のトラブルを防止するために…
イラストの依頼について、依頼者側の方からは「どこまでOKで、何がダメなのか分かりづいらい」という声をお聞きすることもあります。
確かに、著作権というと複雑で難しそうなイメージを持たれるかもしれません。ですが、個人規模で事業目的のブログ・メディア運営をするケースも増えてきている昨今、知らないうちに著作権を侵害していた!ということになる可能性もゼロではありません。
そうなると、著作権を侵害された方も、侵害してしまった方も、どちらもに不利益が生じてしまいます。 それは悲しいですよね。
そうなってしまってから「知らなかった!」「聞いてない!」とならないためにも、事業として著作物を扱うのであれば、行き違いのないよう確認することが大切なのではないかなと思います。私も制作する側として気をつけねばと思いました。
最後に
ストックフォトはクリエイター・購入者さん両者の需要あって成り立っている仕組みだと思います。イラスト素材を購入してくださる方に心から感謝します。
これからも素材の制作を続けていくので、もし気に入ったものがあればぜひご利用ください^^
記事を読んでくださってありがとうございました。